僕が役立たずなのは、一人の例外もなく誰しもが認める所である。 当然、僕自身もそう思うし、彼もそう思っているに違いない。 こうする事に、果たしてどれだけの意味があるのか。 僕は役立たずだ。 なぜならば、僕の中には誰もいないからだ。 煌々と照らし出された僕のお腹は空っぽで、恥ずかしくて死にたくなる。 それでも周囲に見せびらかすように、明かりは灯り続ける。 「どうだ! 僕は役立たずだぞ!」 暗がりの中ではいよいよそれが悪目立ちする。 そんな事、知られたくないのに。 きっと誰の役にも立たない。 誰も僕を必要としない。 端っこの奴は良いな、特別な名前までもらって。 たった一つ違うだけで、こんなにも扱いが違うなんて。 僕は、僕はなんて中途半端なんだ。 それでも僕は、走り続ける。 それが僕の役割だから。 誰一人僕を必要としていなくても、それが僕の日常だから。 ただ一つ、僕の身勝手な願いだけを乗せて走る。 あぁ、どうか誰の目も引きませんように! ______________________________ イヤな事があった日の帰り道は、いつだってブルーだ。 今日も怒られた。それもたくさん。 人よりも要領が悪く、ドジで、覚えも悪い。 そりゃ怒られるよって話だよね。 良い事があった日もそうでない日も、同じ道を歩く。 そうしないと家に帰れないから。 僕の気持ちと同じように、道は真っ暗。 人の気配もまるでない。 きっと明日も良い事なんて無い。 昨日もそうだったんだから、きっとそうだ。 ふと、光が視界の端を過ぎる。 視線を上げると、流れ星が時速80kmで流れていた。 ガタンゴトンと身を揺らしながら流れていくこの明かり。 僕は勝手に「22時54分の流れ星」と名付けている。 毎日同じ時間に流れていく。 良い日も悪い日も。 誰かにそう、望まれているんだろうな。 僕はこいつが羨ましい。 少しでも幸運がもらえるようにと、いつも願い事をする。 明日は良い事ありますように。 どうか、どうか、ほんのちょっとでいいんです。 ……いえ、多いに越した事はないんですが。 そんな下らない事を考えると、ほんの少しだけ心が軽くなる。 そうして僕は帰路につく。 また明日も、頑張ろうって思えるんだ。 ……これは流れ星の御利益かな?
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