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黒井羊太

2022/06/04 14:08

22時54分の流れ星(短編小説)

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 僕が役立たずなのは、一人の例外もなく誰しもが認める所である。  当然、僕自身もそう思うし、彼もそう思っているに違いない。  こうする事に、果たしてどれだけの意味があるのか。  僕は役立たずだ。  なぜならば、僕の中には誰もいないからだ。  煌々と照らし出された僕のお腹は空っぽで、恥ずかしくて死にたくなる。  それでも周囲に見せびらかすように、明かりは灯り続ける。 「どうだ! 僕は役立たずだぞ!」  暗がりの中ではいよいよそれが悪目立ちする。  そんな事、知られたくないのに。  きっと誰の役にも立たない。  誰も僕を必要としない。  端っこの奴は良いな、特別な名前までもらって。  たった一つ違うだけで、こんなにも扱いが違うなんて。  僕は、僕はなんて中途半端なんだ。  それでも僕は、走り続ける。  それが僕の役割だから。  誰一人僕を必要としていなくても、それが僕の日常だから。  ただ一つ、僕の身勝手な願いだけを乗せて走る。  あぁ、どうか誰の目も引きませんように! ______________________________  イヤな事があった日の帰り道は、いつだってブルーだ。  今日も怒られた。それもたくさん。  人よりも要領が悪く、ドジで、覚えも悪い。  そりゃ怒られるよって話だよね。  良い事があった日もそうでない日も、同じ道を歩く。  そうしないと家に帰れないから。  僕の気持ちと同じように、道は真っ暗。  人の気配もまるでない。  きっと明日も良い事なんて無い。  昨日もそうだったんだから、きっとそうだ。  ふと、光が視界の端を過ぎる。  視線を上げると、流れ星が時速80kmで流れていた。  ガタンゴトンと身を揺らしながら流れていくこの明かり。  僕は勝手に「22時54分の流れ星」と名付けている。  毎日同じ時間に流れていく。  良い日も悪い日も。  誰かにそう、望まれているんだろうな。  僕はこいつが羨ましい。  少しでも幸運がもらえるようにと、いつも願い事をする。  明日は良い事ありますように。  どうか、どうか、ほんのちょっとでいいんです。  ……いえ、多いに越した事はないんですが。  そんな下らない事を考えると、ほんの少しだけ心が軽くなる。  そうして僕は帰路につく。  また明日も、頑張ろうって思えるんだ。  ……これは流れ星の御利益かな?

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    久々活動です。

    2022/06/04

    生きてます、、黒井

    2022/05/28
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    黒井羊太

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