以前から気になっていて改善したいと思っているのが、ツールに投げられた動画がそもそもエンコードをする必要のあるものなのかどうか、という点です。可逆圧縮コーデックが使われた動画の場合、サイトが制限をかけているファイル容量をオーバーすることが多く、そのまま上げられないためビットレートを下げるためにエンコードが必要になります。あるいは解像度やフレームレートが引っかかるケースもあるでしょう。

そうでなく、例えば編集ソフトで出力する際に不可逆圧縮コーデックを選択してビットレートが既にある程度抑えられた状態だったり、動画共有サイト用にプリセットが用意されているソフトウェアで作った動画の場合は、再度エンコードをする必要はないわけです。むしろ繰り返しエンコードを重ねることで劣化が起きるので、そのままアップロードした方がいいケースが多いです。

この「サイトに適した動画なのかどうか」ってところが面倒なところで、動画の知識がある人なら問題ないのですが、そうじゃない人はファイル容量くらいしか調べ方が分からなかったりします。フレームレートとビットレートの区別がつかない人も少なくありません。つんでれんこが何故流行ったかは複数の要因がありますが、そういう細かいことが全く分からなくても上手いことサイトに合わせて調整をしてくれたっていう点が一番大きいんだと思います。

TDEnc3では、動画をいきなりエンコードするのではなく、一旦解析をかけ、アップロード予定の場所を聞いた段階で、その動画がそのまま上げてもいいものか、あるいはエンコードする必要があるのかどうかをユーザに知らせようと考えています。以前ニコニコ動画が強制再エンコードを導入したときにNNC(NicoNico NewFormat Checker)というものを作りました。これは動画がサーバで再エンコードされるときに綺麗になるようにするにはどうすればいいのか、動画を解析して問題点を探すために作ったものですが、要はこの機能をTDEnc3に移植します。

実装するためにはニコニコだけでなく、YouTube、Twitter、その他のサイトがユーザに提示している「推奨条件」を調べる必要があります。対応サイトが増えれば増えるほど大変になるわけですが、まあ仕組みさえ作れれば後は閾値を調整するだけなのでなんとかなるんじゃないかなと楽観しています。

TDEnc3開発メモ02