それはある午後の出来事、

「マジたるかったわー」

「あーわかるーカタルシス感じるわー」

「だよねー」

「ん？てか、『カタルシス』の使い方まちがってね？」

マジで？

まぁ、「『カタルシス』なんて言葉、使ってたら知的でカッコいいやん」と自己陶酔していたことは確かかもしれない。

真に恥ずかしながら、わたしは学歴至上主義の中を生きてきた影響か無知を馬鹿にする癖がある。

クイズ番組であまり頭の良くない芸能人が簡単な問題を間違えると「馬鹿すぎワロタ」とテレビの前で笑ってしまうアレだ。

ない？……ふーん。

しかし笑った瞬間に『自分より無知なものを見て優越感に浸る』という番組の思惑に嵌ったと気づき自分に憤りを感じてしまうのだ。このことを人に話すと

「可哀そうに……」

いつも憐憫の眼差しを向けられる。

だから人の無知を笑わないように常日頃から意識をしているのだがなかなか難しい。青春の全てを学業に捧げてしまったことで、『無知であることは恥ずかしい』という固定概念を取り払うことは困難を極めた。

まだ知らないことがある喜び、無知を羨ましいと思える日が来るように祈るばかりである。

すごく話が逸れた。

『カタルシス』について自分なりに解釈してみよう。自己陶酔のためではなく知の探求心のために。

さっそく『カタルシス』の意味を調べてみた。

Oxford Languagesによると、

『舞台の上の出来事（特に悲劇）を見ることによってひきおこされる情緒の経験が、日ごろ心の中に鬱積(うっせき)している同種の情緒を解放し、それにより快感を得ること。浄化。』

は？

意味わからん。

オックスフォードって名前に入ってるし意味は多分これで合ってるだろう。オックスフォードだし。

しかしこのままでは意味が分からん。こういう時はバラして考えるのがいいと頭のいい人が言っていた気がするぞ。

『舞台上の出来事（特に悲劇）を見る』というのは『悲しい物語を見る』ことでいいだろう。それによって『ひきおこされる情緒の経験』というと『悲しくなる』だろう。流石に悲しい物語を見て「ざまあみろ」とはならないだろう、多分。

『日ごろ心の中に鬱積している同種の情緒』というとこの場合は『共感できる悲しみ』といった所か。

繋げてみる。

『悲しい物語を見て悲しくなることで、共感できる悲しみを解放して快感を得ること。』

まぁ、分かったような……？

失恋した後に失恋する恋愛ドラマを見ることで心を落ち着けるということか。傷の舐め合い、仲間意識みたいなものだろうか？

悲しい話に限定したのは楽しいことだけを共有する仲より、苦しいことを共有する仲の方が結束が堅いからだろう。

なんとなくわかってきたような？

つまり、

これはリストラされた会社員が帰り道に雨の中捨てられている子犬を拾うように、心の隙間に入り込むテクニックではないのだろうか。

一通り意中の相手からの失恋話を聞き、自分も似たような振られ方をしたと話すことで心の隙間に入り込み無事意中の相手をゲット……。

こ、こわ～。

今思えば権力者に取り入……人と親しくなるために共感できる悲しいエピソードを提供したりしたこともあった気がする。

人心掌握？人聞きが悪い、世渡りです。

『カタルシス』って何なのか自分なりにわかりやすく解釈した日記

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