「WEB上でルビのある文章を読み上げさせる」というだけのことにめちゃめちゃ苦労する羽目になった話をします。
なんでこれで困ってたかというと、まず9月にあるJ.GARDENというオリジナルBL同人イベントに新刊を出すことにしました。
それが幽霊×目の見えない人っていう話なんですね。
で、
視覚障碍のある人のBL漫画を描いた!
→当事者が読めないのはダメでは?
→小説にしたら読み上げ機能で読めるよね
→同じストーリーで自分で小説書きました!!!
→読み上げ機能を使ってみたらキャラクター名をちゃんと読み上げてもらえなくて没入感の阻害どころの話ではない
→ルビ付き文章をまともに読み上げさせる方法がマジでない!!!!
ってなってました。
普段ALT使ってなくてゴメンネの気持ちもあります。
「もし読みたい人がいたとしたら読めるようにしておく」というのは自分の創作活動の中でけっこう大事にしていることで、同人誌だとイベント一回で売り切れないようにするとか電子版を配信してるのとかもそういう気持ちでやっていて、その延長という感じです。読む人いるいないの話じゃなくて読めるようにしてあるかどうかが自分の中で大事なんで……(仁義)
なので私の過去作は全部どっかしらで読めます。
(大学で今で言うSDGsやノーマライゼーションを重視するゼミで勉強していた影響も大きいなと思うので、今思えば不真面目な学生なりに色々学ばせてもらえたことに感謝です)
そういうわけでとりあえず自分のサイトに上げておけば読み上げ機能で読めるだろう、と考えたのですが、甘かった……。
ルビのある文章を読み上げ機能で読ませようとすると
・親文字とルビを両方読む
・ルビを無視する
のどっちかになってしまうという。
(自分が試して/調べた限り、PC&スマホに最初から搭載されている読み上げ機能、PDFリーダー、アレクサ、Kindleでもそうなっており、ブラウザ上でそれを回避するために数年前に提案されたJavaScriptは今ではちゃんと動いてくれず、Word上でルビを読ませるためのアドオンはサポート終了)
ルビの読み上げ問題に関しては以下の記事が詳しいです。
Webのルビ仕様にはアクセシビリティを阻害している面がある。「日本DAISYコンソーシアム」が改善を求めてブラウザベンダ、WHATWG、W3Cらに公開書簡 - Publickey https://www.publickey1.jp/blog/21/webdaisywhatwgw3c.html
ルビと文章の読み上げについて-日本電子出版協会
https://www.jepa.or.jp/keyperson_message/201710_3682/
というかそもそも現在の読み上げ機能だと読み間違いや読み飛ばしがかなり多いらしく、オーディブルってそういうストレスなく聞けるかなりよいものだったんだなと気づきました。
ルビを読むことってそんなに大事? と思われそうですが
タイトル
『君(きみ)にだけみえている』→「くんにだけみえている」
頻出しまくるキャラクターの名前
「昴誠(こうせい)」→「すばるまこと」
「理(さとる)」→「り」
と読まれるのはもう……楽しめんだろ!!!正直!!!!!!
もう漫画の方は描き上げて入稿しちゃってるし、タイトルとキャラの名前という作品の重要部分を読み上げさせるためだけに変更するのも違うだろう……。
色々試したり調べたりした結果、こちらのWeb小説読み上げツールに行きつきました。アプリもあるようです。
https://syosetu-yomiasari.com/tool.html
インストール簡単!読み上げも簡単!!
ためしに目についたなろう小説を読み上げさせてみたらちゃんとルビ通りに文章を読んでくれて感動しました(試行錯誤の中で何十回「すばるまこと」を聞いたと……)。
もう少しで個人で声優さんとかに依頼するか……? と血迷うところでした。それはそれでやってみたいけども。
というわけでルビの調整が終わったらこちらに対応しているサイト(と一応自分のサイト)に投稿しようと思います。
見つけた時まじで光が見えた……!! 開発者の人本当にありがとう!!!
(ここまでで疲れてしまったので、他にあるのかは調べてないけどあるかもしれません)
と思いつつも、個人の人が開発して何年もアップデートをしているこちらの機能、GAFAやMSにできないわけがないので、何年も前から業界からなんぼか提言が挙げられていても「後回し」にされているんだろうなあと思いました。
視覚障碍(広義には弱視・近眼・老眼なども含め)だけでなく、文字を認識するのが難しいとか、忙しくて読む時間がないとか色々な理由で文章を読みづらい人のことを考えると、割と日本固有の文化とはいえ早く整備してもらいたいなあと思います。
あと、日本語学習中の方なんかもルビがあるとありがたいそうです(ローマ字のルビもそういう方々に需要があるらしい)。
まあ私も今回こういうことを自分でしようと思うまで知らなかったわけですが……
選択肢が増えること自体は誰にとってもいいことだと思うし、機械って人間をできるだけ楽に生きさせてくれるためにあると思っているので今後に期待です。
あとこうつらつら書いたものの、漫画&小説の内容はどちらかというとエロが主題で、別に障碍者も障碍に悩む以外の生活してるし、エロいこともするし、みたいなつもりでかいてるんですが、たまたま
「人は障害のある人を見ると、彼らが経験しているのはそれぞれの障害だけだと決めてかかる。障害は、実際は経験全体のごくわずかな部分を形作っているにすぎないのにーー彼らは抱えている障害以上の存在なのに。」(ハリー・パーカー著、川野太郎訳『ハイブリッド・ヒューマンたち』みすず書房、P81)
という本の引用ポストを見かけて、そうそうそれそれ! となりました。
いやまあ障碍について感動ポルノ的な要素がまったくないかっつーたら…あれですけど…まあ近々公開するので気が向いたら読んでもらえればと思います。
漫画の方の同人誌を買うかどうかの判断に使ってもらってもいいですし。
あとせっかくなので紙の本にして会場購入限定ノベルティという形で配る予定です。
ちなみに私が「障碍」の字を採用しているのは、日中韓で同じ字で同じものを指す言葉として使えるからです。
違う言語なのに同じ言葉を持ってるのってなんかいいわね、せっかく同じルーツの文字をもっているんだからこういうの使いたいわね、という感じです。
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