一筆お手紙申し上げます 灼熱の日差しの刺々しさがいつの間にか和らいだことに気付くこの頃、いかがお過ごしでしょうか。 先日、吹き抜ける風を久方ぶりに涼しいと感じて、つい、天気を確認してしまいました。 夏の盛りが通り過ぎて、雲の間の青空の向こう側に帰っていってしまった気がして。 なんだか少しだけ、さみしく思ってしまいますね。 あんなに「暑いのは嫌だ」と言っていたのに、居なくなると途端に惜しくなってしまって。ほんとう、不思議なものですね。 いつだって、どんな季節だって、終わってしまうとそれはそれで寂しくなります。今年の夏はもう二度と帰って来ないような、そんな気がしてしまうからなのでしょうか。 けれどまあ、夏の盛りが終わっても、暑いものは暑いですね。 残暑の肌に張り付いたようなぬるつく湿度をまだまだ感じています。 秋はいつ来るのでしょうね。 ここ数年、秋の到来に気づく前に冬の風が吹いてくるから、今年こそは秋を掴まえたいと密かに意気込んでいる所存です。 弓川さんも秋を見つけたら、ぜひ教えてくださると嬉しいです。 けれど、まずは何よりも適度なリズムで夏の片付けをいたしませんとね。 当方は毎年夏の終わりに乗り遅れていつのまにか寒い寒いと嘆くので、今年はきちんと気温の変化に対応したいものですね。 これから音を立てずにゆっくりと、季節が移ろってゆくことかと存じます。どうか気付かぬうちに風邪など召されませんように、何卒ご自愛くださいね。 かしこ 令和五年 八月
一筆お手紙申し上げます 年の瀬も一瀬くんも迫り来るこの頃、弓川さんにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 もうすぐ一年が終わると思うとなんだかとっても感慨深いような気がいたしますが、普段通りと言えば普段通りで、意識しないとあまり実感が無いような気もしてしまいますね。 弓川さんは年末らしいこと、もう何かなさいましたか? これから何かされる予定がございますでしょうか。 年末年始の恒例行事や楽しみなど、教えていただけましたら嬉しいです。 今年も一年、弓川さんの素敵な作品に触れられて、とってもとっても良い年になりました。いつもありがとうございます。 来年も何卒よしなにお願い申し上げます。 それでは、良いお年をお迎えくださいね。 かしこ 令和五年 十二月 年暮
一筆お手紙申し上げます 最近めっきり寒くなって、気付くと指先がかじかんでいます。気温が下がると文字の打ち込みが億劫になるのが難儀ですね。 そんな日常の端っこに冬を感じるようになったこの頃、弓川さんにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 あちらこちらの木々が紅葉して、遠目にも華やかで。中にはもうすっかり葉を落として一足先に冬支度を済ませた木もあるようですね。 どの木もそれぞれに良さがありますが、中でも紅葉の遅いもみじが色づくと、今年の秋ももう終わるんだなとしみじみ思います。 色づくといえば先日の夕方、雲ひとつない淡いピンクに染まった空に、白い半月が透けるように浮かんでいました。 夜見る月も良いですが、昼間の月もなかなか深い趣がありますね。夜の月よりも儚げで、風にさらわれて崩れてしまいそうというか。 普段は光が弱く目立たない真昼の月ですが、その日は淡く染まった穏やかな空の真ん中に、何にも遮られることなくただ一点ぽっかり白く浮かんでいたので、とても目を惹いて。 とってもとっても綺麗でした。 太陽の高度も低くなり、自然の緑も葉を落とし、なんだか日に日に景色の彩度が薄らいで、季節が冬支度を整えているような気さえしてしまいます。 移ろう四季に取り残されないように、しっかり冬を迎える準備をいたしませんとね。 きっと冬を感じて笑っていられるのも今のうちだけで、じきにもうすぐ寒さに震えて咽び泣くことになるのでしょうから。 これからますます気温が低くなることかと存じます。どうかあたたかくして、弓川さんが寒さに震えることのありませんように。 何卒ご自愛くださいね。 かしこ 令和五年 十一月 晩秋
一筆お手紙申し上げます 寒さと共に来たる秋の気配を肌で感じるこの頃、弓川さんはいかがお過ごしでしょうか。 十月に入り、あっという間に涼しくなりましたね。 朝晩は特に気温が下がって、冬と勘違いしてしまいそうな冷たさすら吹き込んで来るようです。 きんと張り詰めた空気の硬度に、しばらく忘れていた冬の輪郭を感じました。 もう半月ほども経てばもしかすると、霜焼けを恐れるような北風が駆け抜けるようになるのでしょうか。 季節の巡りは本当に気まぐれなようでいていつだって足早で、その姿をきちんと見守っていないと、いつのまにか置いて行かれてしまいますね。 弓川さんは秋はお好きですか? 秋には代名詞が沢山あって、食べ物も芸事も運動もと大変欲張りで楽しい季節だと当方は思っております。 弓川さんは、どんな秋がお好きですか? 弓川さんにとっての秋は、どのようなものでしょうか。 きっと人それぞれ好きなものが違うように、きっと人それぞれ秋に対する印象も異なるのではないでしょうか。 弓川さんにとって秋は、一体どのような姿で見えているのか。よろしければ教えていただけますと嬉しいです。 朝晩の寒暖差で知らぬうちに体が冷えてしまう季節かと存じます。 何卒お家の中でも寒さを感じる前に一枚多く羽織って、どうか暖かくしてお過ごしくださいませ。 かしこ 令和五年 十月 秋日和
高い空に棚びく雲に斜陽が滲んで、夕日の映えるこの頃。 秋分も過ぎて、日が暮れるのが早くなったと感じることが増えました。 「先月までまだこの時間は明るかったはずなのに」と思うと、夏がいよいよ遠退いてしまったことを実感します。 まだ弓川さんは夏に閉じ込められたままなのでしょうか。夏に閉じ込められたまま、遠くの向こうに連れ去られていないと良いのですが。 当方の所在する地域では、日が暮れると秋の虫の声が聞こえるようになりました。 当方はこれがなんという種類の虫の鳴く音かはわからないのですが、弦楽器のつるをひくような、おおよそ虫とは思えないような音を毎夜奏でているのが聞こえます。 飲食料品店には秋の味覚が並びはじめ、服屋には暖かそうな色の服が増えました。 世の中は本当に季節の後始末が上手で、まるで夏なんてもうとっくの昔に廃れてしまって、今はまさに秋が流行ど真ん中! といった様相を呈しています。 ちょっと前まであちらもこちらも夏を謳っていたというのに、そう思うと少し薄情な気さえしてしまいますね。 秋といえば、今晩は十五夜のお月様が昇るそうですよ。弓川さんは空を見上げて天体観測をするのはお好きですか? 弓川さんの見上げる空がもし晴れていたならば、今夜はお月見なんていかがでしょう。もしかしたら、月の兎まで見えるやもしれませんね。 各地で急に涼しくなりました。 季節の変わり目は体調を崩しやすいですから、何卒ご自愛くださいね。 かしこ 令和五年 九月 名月
一筆お手紙申し上げます 夏の盛りもど真ん中といった陽気が続いていますね。 空調の効いた部屋の外へ出るのに毎度ひとつ心を構えて挑まねばならぬこの頃、弓川さんはいかがお過ごしでしょうか。 弓川さんは夏はお好きですか? 夏は過ごし辛さを感じることも多いですが、その中に夏だけ限定の特別感も沢山きらきら輝いていて、嬉しいような、それでも過ごしやすい方が良いような、けれど満喫したいような、そんな不思議な気持ちになる季節だと、当方は思っています。 弓川さんは夏、お好きでしょうか。 もしよろしければ弓川さんの夏の好きなところとか、夏限定の楽しみとか、夏の思い出、夏の過ごし方、乗り切り方など、何か答えられる範囲で教えていただけると嬉しいです。 もちろん、特に思いつかなければ、その気持ちをそのまま答えていただければそれで十分です。 この暑さは一体いつまで続くのでしょうね。 日中の焦げ付くような陽光に照らされている時に感じる一陣の風の生ぬるさに、涼むことができない残念さと同時に「ああ夏だな」という実感というか、ちょっと堪えきれないわくわくとした期待感を毎度抱いていて、感情が忙しいです。 この風を涼しいと感じることができた日がきっと、夏が終わった日なのでしょうね。 なんだかそれが楽しみなような、けれどなんだか惜しいような、複雑な気持ちです。 もしかすると当方は、なんだかんだ言って結構夏が好きなのかもしれませんね。 でもやっぱり、暑さにはげんなりしてしまいますね。 本当に体調を崩しやすい季節かと存じます。 弓川さんにおかれましてもしっかりこまめに水分と後輩男子を補給して、毎日どうか健やかにお過ごしくださいね。 またお手紙送ります。 当方の送る手紙が、毎月の弓川さんの楽しみになれたならとっても嬉しいなって、こっそり願っています。 かしこ
初めてお便り差し上げます 夏と聞くたび一瀬くんを思い出し、何を見ても立方さんを連想するこの頃。快晴の空から降る眩い光に照らされて緑が鮮やかに浮かび上がる季節となりましたね。弓川さんにおかれましては、体調など崩されることなくお元気にしておられるでしょうか。 さて、この度は月課のPOTOFUからの弓川さん小旅行を決行していた折、最下部になんぞ見慣れぬアイコンを発見し馳せ参じてみれば、なんとお手紙を受け付けていらっしゃるとのことでしたので、ツイスト奏でながら意気揚々と筆を取って三拍子に乗って小躍りしながら文を認めている次第です。 弓川さんにお手紙をお送りするのは、確かこれが初めてでしたよね。当方はつい書き足らずに書き過ぎて長くなってしまうから、読み辛くないか少し不安に思っております。けれどもきっと、弓川さんなら笑って許してくださるかしらと、ちょっと柔らかい気持ちで居られるのは、弓川さんのそのお優しく気遣い上手なお人柄ゆえでしょうね。いつもありがとうございます。常日頃より寛大なお心配りを頂戴し大変有り難く、また嬉しく思っております。 伝えたいことは星の数よりあれど、いざと思うとなかなか言葉にならないものですね。 いかんせん、勢いと筆だけ握りしめて押っ取り刀の千鳥足で参ったものですから。次までには書きたいことを纏めておこうと思います。また後日、改めてお手紙送らせていただきますね。 それでは今回は、取り急ぎご挨拶までということで。 まだまだ夏の暑さは続きます。どうか弓川さんが辛い思いをしませんように、お祈り申し上げております。 弓川さんに、今日も明日も明後日も、とっても良いことがひなあられの様に降り注いでたくさん笑顔になりますように!! かしこ 令和五年 7月