太陽や月など
横持ちで長傘を振る男が駅舎の人混みを縫って足早に近づいてくる。バン。すれ違いざまに傘同士が当たった。電光石火。男は持ち手を替えて私を睨みつける。背筋には一分の隙もない。強い圧に私は硬直する。六秒の静寂。男は去った。私の背に憑く侍が瞑目する。現代の士業は怒りの制御を心得ているのだ。
2021/12/01 、Twitter 12月の星々に応募して予備選通過
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